運動会の上位下位関係分析

今年から娘が幼稚園に通いだし、父親として参加する初めての運動会は「こういう世界観だったのか!?」という新鮮さがあったので書き留めようと思い立つ。

ちょうど、当初の運動会予定日は前日だったのが、途中の雨天により延期決定したため、後半だけUX KANSAIセミナーに顔を出すことができた。参加者が上位下位関係分析に苦戦する様子を見ていたら、つい自分もやりたくなったので翌日振替となった運動会にて実践する。

家族からは「革新的な家族サービスをデザインする暇があったら、休日くらい家庭に尽くせ!」という顕在化した要望を承っており、肩身狭いUXer気取りの哀愁に満ちた投稿になってしまった。


運動会でのフィールドワーク

~場所取り編~

2日連続となる開門2時間前からの席取りでは、「どうして自分は早起きして並んでいるんだろう?」を自問自答した。もちろん妻からの指示に従っているんだけど、さらに「なぜなぜ?」を繰り返して自分なりの答えを出す。
上位下位関係分析における「発見や洞察」の範例が「XXXのためにYYYがしたい」形式になっている。これは、観測された事実(YYY)だけではなく、背景にある理由(XXX)まで記載しておかないと、表面的な事象ではなく根本的な欲求が共通するもの同士をグルーピングができないからだろう。

並びなれたお父さんは折畳み椅子に座ってスマホゲームをして時間を潰したり、タクシーで到着した子供を被写体にカメラの動作確認をはじめたりする。マイカーのコインパーキング難民になるのは嫌だし、子供の体力温存を最優先にさせたい狙いがあるのだろう。

いざ開門すると小走りで目当ての場所を取る。クラスごとに区画が分けされているので、そこまで熾烈な争いにはならない。それでも藤棚の下などの日影には、UVカットのテントが集中する。
通路を挟んで前方はレジャーシート、後方はテントという不文律を見出した。危うく昨日は前方エリアにテントを設置してしまい、途中の雨天中止でリセットされたのが不幸中の幸いだった。場所取りに追われると空気を読む余裕が無いので、初心者殺しだ。


~写真撮影編~

定刻通りに開会式が執り行われる。夏フェスと同じく、目当ての出演になると前方(レジャーシート)に繰り出して日光の下で観戦し、それ以外は後方のテントで待機する。
隣のお父さんはスマホで撮影した後はどうするのかな?と思って見ていると、動画を再生しながらタイミングを見計らってスクリーンショット撮っていた。画質よりも、子供が特定できる画像をリアルタイムに得て共有することを重視していそう。

光学ズームな機器を持っている勢は、校舎の少し高いところから列に並んだ我が子を狙う。おそらく記録として、離れた場所の親戚や、時間が経った後の成長振り返りとして見るのだろう。

私もコンデジで我が子を撮影しようとしたけれど、眩しい屋外では液晶が確認できないのでけっこう厳しい。徒競走になるとバシャバシャ撮影して後で選別するしかない。

かわりの策として、保護者席付近の退場門にやって来た我が子を狙って撮影する。徒競走のゴールした瞬間をバシっと撮影するのが理想だけど、記録して振り返るという目的からすると、本人が識別出来て運動会の会場だと分かれば事足りるのかもしれない。
帽子にちょっとした刺繍をしている子がいる。なるほど。大勢の子供から自分の子供を見分けるための仕掛けだったのか。

顔と場所が分かる記録と言う意味で、入り口の看板を撮影する親子は多かった。

大まかに分けると、決定的瞬間を綺麗に残す「記録用」と、画質は劣っても良いからリアルタイムに雰囲気を伝える「シェア用」がありそう。


~お弁当編~

当初の予定日、妻は気合の入ったお重のお弁当を準備していた。が、会場入りした後に中止となってしまい、おうちで食べることになった。

どうしてお弁当に気合を入れるのか?やっぱり「子供が喜ぶ顔が見たい」は大きな動機だけど、周囲との比較や、評価を得るという側面も無視できない話を聞いた。

特徴的だなと思ったのは、お弁当を作ったけれど雨天延期になった翌日はどうするか?がママ友間で話題になり、足並み揃えてケータリング等で済ませたというお話。
子供の笑顔と、家事の労力と、周囲の目という板挟みの中でバランスを取りながら育児しているんだなぁと知る。

料理では戦力にならない私は妻に頭が上がらない。コンビニまでパシりに来る父親やおじいちゃんは多かった。自分のコーヒーついでに、埋め合わせるような気持ちで差し入れを買う。


~競技編~

言われるがまま「台風の目」という競技に駆り出されてきた。

負けられないパパ!生贄として差し出されるパパ!頑張っても子供は見てない!でもしくじる訳にはいかない!

パパが生贄として差し出される背景として、年間行事いずれかの役員を受け持たねばならない事情がある。ステークスホルダーマップで整理を試みると、けっこう入り組んでいて、ママを取り巻く人間関係の大変さが分かる。


質的調査の分析

そうこうして、フィールドワークから40個程度の情報を得る。運動会から独りで事象を集めるという思い付きは、やってみると苦しかった。洞察力を鍛えねばならない。
エスノグラフィー的に渦中の人になりきって得た自身のエピソードもあれば、ママ友・パパ友から立ち話がてら聞き出したインタビューの情報、妻を通して伝聞によって得た周囲の情報もある。データソースには偏りもあるし、調査目的が曖昧で足場が不安定だけど、とにかくミドルスタートとしてやりきる。

グルーピングする作業は、チームで取り組むよりも、独りで作業した方がスンナリ出来たような気がする。おそらく、自分がすべての付箋を書いたので内容に精通しているからだと思う。チームで取り組んだ時に字面は目に入っているけれど、他人の付箋に対して「それってどういうこと?」と突っ込んだり、書き直してもらったりするほどは立ち入ってなかったんだなと反省する。

コピー用紙にグルーピングしておくと街中の空き時間でも目を通せて、「ユーザーの行為目標」へとラダーアップする作業が捗った。付箋をカテゴリーに当てはめるのではなく、KJ法の教えに従い「己の心を空しくして付箋から聴こえてくる声に耳を傾ける」ことを心掛けた。

グルーピングに対してラベルを書く。発想法で言うところの「なるべく柔らかく、もとの発言の肌ざわりができるだけ伝わるように」「土の香りをなるべく伝えた」表現が良しとされる。
講義で伺った「雑味のある表現」を目指す。文章で書いたからといって良いとは限らないけれど、少なくとも単語だけでは雑味が伝わらないので、文章で書くことは必要条件に思える。

「幸せになりたい」ではサービスづくりに活かせないので、その一歩手前に位置する「上位ニーズ」を得ることが狙い。画像で言うとパステルイエローの付箋。
  • 時間や場所を越えて子供の成長を実感できることを通して幸せになりたい
  • イザという時、ヒーローのように活躍して家族に貢献する一家の大黒柱であることによって幸せになりたい
  • 上手く家庭内外のバランスを取ることで家事をスマートに片付け、喜ばれることに時間を割いて幸せになりたい

わざわざ調査しなくても分かるような「上位ニーズ」にはなっていないか?...お手本とは言いがたいかもしれない。それにしても、上位下位関係分析は哲学のように幸せについて考えるところが苦しいながら楽しい。

頭の良い人は付箋を使わずとも習慣としてKJ法のようなラダーアップを脳内でやってのけるという話を聞いたことがある。そのレベルにまで達すれば、どんな経験をしても自分の身に付いてゆき、加速度的に自分を高められるんだろうなぁと思う。千里の道も一歩から出、手を動かす訓練に取り組んでゆきたい。

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