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家族サービスデザイン #3 ステークスホルダーマップ

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箱モノ製品をつくってきたメーカー技術者にとって、形の無い「家族サービス」づくりは慣れない。そんな私に取っ付き方を教えてくれるのが「サービスデザイン」である。
書籍「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING」を紐解くと思考ツールの多さに圧倒されるが、けっこうUXデザインで馴染みあるものも多い。UXデザインとサービスデザインの関係は、デスメタルとグラインドコアの関係くらい別物でありながら近いのかもしれない。
思考ツールの多さは、全体的な視点を目指した個別の視点を組み合わせや、形の無いサービスをあの手この手でスケッチする必要から生まれたものと想像する。今回は思考ツールの1つである「ステークスホルダーマップ」を描くことで、家族サービスに関係しそうな登場人物を洗い出すことに取り組んでみた。

所感:新たな問題点の発見と言うよりは、他の思考ツールで抽出済の問題が誰と誰の間に位置するかの可視化や整理に恩恵があるよう思えた。ソフトウェア開発でUMLを描く時には、どんな問題なら何のチャートが適しているかだいたい分かる。サービスデザインも、見方が備われば自然に思考ツールが選べるのか。ステークスホルダーマップを書いていて、自分が「家にお金を入れる」存在と書いてしまうと寂し過ぎたので、なるべく提供価値が何かを問いつつ書いた。フロントエンドとバックエンドの境界については迷った。私から見たママ友や、妻から見た会社はバックエンドと考え、家族を互いにフロントエンドと捉えた。何がしかの家族サービスを作ることで登場人物が増えるならば、中央の円に入るようなものかとイメージしている。

家族サービスデザイン #2 上位下位関係分析

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「UXはシアワセみたいな意味だから、名刺に書いてカッコイイものでもない」という話を聞き、だったら逆に「妻を幸せにする」という挙式時の誓いをUXデザインで叶えられないか?と思い付いてやってみた第2弾。
インタビューから得た「ゴミはゴミ箱に捨てて欲しい」等を個々に潰してもキリがないし、手間がかかる割に当たり前の水準にしか辿り着けない。そこで、本質的な要求を特定して、本気出して叶えるアプローチをとる。
本質的な要求は表面に現れるものでないので、日頃の行動を黄色付箋に挙げ、目的が同じものをグルーピングして、青色→ピンクへとラダーアップする「上位下位関係分析」を行った。「幸せになりたい」まで抽象化すると対策が打てないので、その手前くらいの抽象度で手を打つのがポイントだとか。
所感:ラダーアップ時の頭の使い方は、KJ法やKA法と似ているよう感じた。「手法は本質でない」と言われる所以はこの辺りかもしれない。上手いラベルを書く苦手を克服しないと、UXDやるのは難しそう。リビングに模造紙を張って毎晩少しづつ作業していたら、妻が付箋を増やしてくれた。家族サービス界は需要と提供の二極でなく、お互いに影響し合うエコシステムであるので、共創は自然なこと。あまりママ友と群れないイメージの妻だったのが、本質的な要求価値として「身近な人との繋がり」が挙がったのは意外性あった。迷走してまいりましたが、次回は構造化シナリオ法か何かで、「マジ価値」を満たす家族サービスの設計を試みる予定。

家族サービスデザイン #1 エクスペリエンスマップ

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世界平和を歌うシンガーソングライターが、家庭内でトラブルを抱えていると、説得力に欠ける。UXデザイナーも同じく、家庭を幸せに出来ない人が、製品やサービスを通して世の中を幸せに出来るか疑わしい。

かく言う私も自宅不在が多く、家庭を顧みる方ではないので、今一度、HCD専門家として家庭に向き合おうと思い立つ。平日、私がいない家庭で何が起こっているのか、妻に根掘り葉掘りヒアリングして、1日の運用に着目したAS-ISのエクスペリエンスマップを作成してみた。



所感:
成果物の良し悪しは置いといて、家事育児に向き合おうとすること自体に好印象が得られた。成長と共に運用や困りごとも変わるので、定期的に現状を書き下す子育て奮闘記録フォーマットとしても良さそう。有り合わせの文具を使うと、マジックが太過ぎたり、模造紙1枚では狭かったりする。参加してきたワークショップはよく作り込まれていた。妻の周りには育児関連のあるべき論(例:何時に就寝させるべき)が溢れているが、現実的には運用不可能で折り合いを付けねば回せず、キチンとしたい気持ちとの間で葛藤がある。運用の困り事に対しては、おばあちゃんのリソース活用などで手を打ってきて、それなりの効果が得られているが、困り事を無くす範囲から脱していない。結婚する際には「幸せにする」と約束したが、そう言えば妻の「幸せ」について特定できておらず、さらなるリサーチが必要。
不定期ですが、真の家族サービスドミナントロジックに根ざした家族サービスデザインを実践すべく、次回は上位下位分析か何かの予定。

2016 UX KANSAI #2 フィールドワークとKA法

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仮説をつくるユーザー調査これまで業務で取り組んだユーザー訪問は、あらかじめ立てた仮説の裏付けが目的だったのに対し、今回学んだエスノグラフィーは仮説づくりが目的。仮説を立てず先入観を捨ててフィールドを探求するのがポイント。
これまで仮説検証で事足りたのは、派生開発が多く既存製品の延長上に提供価値があったから。また、設計部門の役割でなかったから。 もし、単なる改善を超えたイノベーション創出に取り組むならば、「人はなぜ健康を求めるのか?」くらい俯瞰したレイヤーで問いを立てて、仮説づくりから始める。その後、やっぱり仮説検証のユーザ調査も要るだろう。

専門家なのに基礎編を受けに来たの?周囲から聞かれたのだけど守備範囲から離れるとまだまだ半人前。特に今回取り組んだ最上流のユーザー調査はUXデザインの本質にも関わらず、私の守備範囲である設計からは最も遠い。


手法には詳しいつもりでいたけど、本質とは違う。リサーチを生業とするチームメイトの方が、初参加と言いながら、流れるようなラポール形成をしていて真似したいくらい。振り返って良いチームに恵まれた。マーケター、クリエイター、社長がいて多様性抜群。私と違うタイプの認定スペシャリストもいて、慌しい中で強みを噛み合わせられた。前回の布石であるチームビルディングが上手く働いたことは自信に繋がった。一方、メンバーの恩恵だから自分の実力ではないという戒めもある。
B2Bの業務製品でも提供価値の仮説づくりは必要? 個人的なテーマとして↑の問いは常につきまとう。やった方が良いレベルでなく、既にある「金のなる木」を疎かにしてまで取り組むのか?ということ。私は、ポートフォリオとして必要と考えている。「金のなる木」に金がならなくなってから学び始めては手遅れだから。 よくある「10%ルールで業務に関係ない事やっていいよ」が発令されても、何をするか路頭に迷う。唯一解ではなくとも、UXデザインはかなり確度の高い答えを出せると期待する。そればっかりで飯は食えないので、確実に投資効果が得られる取り組みも必要。だから普通のメーカーではプロトタイピング、チェックリスト、ユーザビリティ評価あたりを導入するといったところか。価値提供があるから企業活動が成り立つので、「前と同じ」で思考停止せず、改めてASISの提供価値を見直すと発見はあるだろう。