日頃から適度な運動する界のエクストリームユーザー

健康診断で「日頃から適度な運動を・・・」と助言されても、それが出来れば苦労しない。適度な運動するにも動機が必要で、ポケGOは1つの解かもしれない。違う視点で、適度な運動界のエクストリームユーザーである、競泳人が何を得るために泳ぐのか追う。


◆高知まで行ってきた


阪神圏から高速バスに乗って4時間弱、明石海峡と鳴門海峡(写真)を渡り、さらに太平洋側の高知県に向かう。

社会人スイマーにとっては全国大会という箔が付いた「日本実業団水泳競技大会」。

今回の会場は「くろしおアリーナ」で、少し暑かったけど、プールの設備は申し分ない。

選手層で言うと「オリンピックに手が届く選手>>生業として鍛えている選手>>泳ぐサラリーマン」が1:50:1000みたいな感じだろうか?私なりに全力を尽くしているが、実業団の中で見れば、観光して旨いもの目当に来てる勢。


勝負は場所取りから


会場へ遅れ気味に到着すると客席が制圧されている。人数の多い強豪チームは特に、早起きして観戦しやすい席を確保する。

席を探して途方に暮れていると、同郷の別チームが「みんな仲間じゃないか」とお裾分けしてくださり、席にあり付けた。感謝。

プールが見えない廊下を陣取るチームもある。ガチンコなチームは、ストレッチ用の台を広げる。体力温存のため、寝ている選手もいる。

広告塔として会社の看板を背負っているチームは、目立つ場所に旗をかけることにも躍起。

場内ではないけれど、影だったら風が吹けば涼しく快適。昼寝するのも良い。

Q:なぜ、場所取りをするのか?
A:チームの仲間が良い記録を出すためには、窮屈で疲れが出ないよう広々過ごせることが必要だから。ほか、仲間の有志を観る、ストレッチする、会社の存在をアピールする、などなど。


◆ウォーミングアップ


大会が始まる前の時間帯は、メインプールでウォーミングアップできる。だいたい芋洗い状態。

3コース程は飛び込みの練習用で、実際の飛び込み台で練習したい選手が列を成す。

朝一だけでなく、出番の前にもウォーミングアップできるよう、サブプールも使える。一応は飛込みコースも用意されている。

Q:なぜ、列に並んでまで本番のプールで泳ぎたいのか?
A:飛び込みの高さ、深さによる見え方、滑りやすさといった会場の特徴を確かめて備える事で、気持ちを慣らして平常心で臨みたいから。


◆最初の関門は召集


どんなに早く泳げても、招集に遅れると失格なので、出番より早めに集まる。50mのような回転が早い競技では、招集場に人が溢れる。

招集場には、競技・組・コースが掲示される。閲覧用プログラムが置いてることも多いけど、直前の競技とともに、自分の組やコースを暗記orメモしておくと安心。

いよいよ招集になると、規定された水着を着ているかどうか、FINAマークがチェックされる。水着が厳格化されたおかげで、数十分かけて全身水着を着ることもなくなり、振り返れば良かったと思う。

Q:なぜ招集にはこんなに早く集まるの?
A:競技の進行によっては予定時刻より早く招集されることもある。競技に関係のない余計な不安で気持ちを乱されたくないから。


◆飛び込めば一瞬


前の組の選手が飛び込むと、役員の合間を縫って入場。ちゃんとした大会では、後ろ足がかけられるスターティングブロックが使える。こんな本格的なやつは、一年に一度しか使う機会が無い。

最初に水泳を習った頃から、フォームの主流も競技ルールも年々変化している。正直、両足を揃えて飛び込むスタイルの方が慣れているけれど、今年はスターティングブロックを使ったクラウンチングスタートに挑戦する。

Q:なぜ、不慣れな飛込みに挑戦するのか?
A:死ぬまで水泳を続けるつもりでいて、どうせ変化に追随しなければならないなら、なるべく早く受け入れて慣れた方が、残りの競技人生を上手く戦える。

スタートが鳴って飛び込むと、無心に泳ぎ、気付けば終わっているもの。


◆定性的に定量的にふり返る


チームの仲間の泳ぎを撮影する人もいる。おそらく、SNSでシェアとかの類ではない。

新しくフォームを変えた場合なんかは、客観的にどう見えるのかチェックしたい。

競泳は定性的に記録が出るから分かりやすい。電光掲示板では分からないラップタイム等は、壁に張り出される速報から読み取る。

一昔前はクリップボードにメモしていたが、最近はスマホ撮影。公式戦の記録を参照できるオンラインサービスなんかもある。


◆兵糧の確保


お弁当を確保しているチームもあれば、レンタカー飛ばして近所のコンビニからゼリーやおにぎりを買い込むチームもある。

今年は例年に増して、徒歩圏内にコンビニすら無いくらい辺鄙なので、準備しておかないと腹が減って戦ができなくなってしまう。

準備を怠っても、一応は場内の一角にも食堂がある。他に選択肢が無い事と、冷房が効いていることもあり盛況。


◆水泳をとりまくステークスホルダー


チームメイトがいてこそ試合が楽しい。とは言え、自分のウォーミングアップも大事なので、サブプールからメインプール側に顔を出して、合間にチームメイトを観戦する選手がいっぱい。

競技役員の方のおかげで大会が成り立っている。今大会は折り返しや泳法を厳しめに取っていたが、この判断にも「今のはきわどい?」ものが多く、失格にして喜ばれるものではないので、けっこう負担だろう。

おそらく地元の水泳部に所属しているであろう高校生も、無給で駆り出されているんだろうか。おかげさまで大会に参加できると思うと、頭が上がらない。

ファミリーずれもちらほらと見受けられ、家族のサポートあって水泳ができるんだなぁと実感。競泳は大半が知らない人が泳ぎ続けるだけなので、子供が見て楽しいものではない。


◆実業団出場は誇らしい


場外には数少ないけれど物販があり、けっこうな人が買い求めていた。

「高知」「実業団」があしらわれたスイムキャップやポロシャツ等が早めに売りきれる。

Q:なんでグッズを買ってゆくの?
A:身に付けることで自己主張になるから。地元で「実業団に参戦してきた」アピールしたり、過去のを着用して「昔から出てたぜ」アピールしたり。実業団ってなんか凄そうな感じがするのでお土産に買う人もいる。ちょうど夏フェスのTシャツみたい。

予選の最後には連続出場の表彰がある。40年連続出場も3名おられて、生涯スポーツを体現しているようで痺れる。

来年は静岡開催の予定だが、年齢別を廃止して制限記録を厳しくする目論見があるらしい。あと2回で私も10年連続表彰なので、普通の社会人が出られなくなるとすればとても残念。

大会新記録が出たら、チーム関係なく会場の皆が拍手をする。今回印象的だったのは、リオオリンピックで金&銅を獲った速報に、会場が一丸となって喜びを分かち合ったこと。


◆なぜ実業団に出るのか?


私は決勝に残るような速い選手ではない。記録を狙っている訳ではなく、むしろ年々落ちてゆく。水泳人以外から素朴な疑問として「では、何のために大会に出るの?」と問われる事があって、けっこう答えには詰まる。
やっぱり権威があって誇らしいからというのは理由として大きい。昨年だと有名な北島選手や松田選手が出場していて、同じプールでアップしたのはちょっとした自慢。そのくらいの権威があるからこそ、家族や職場のみんなが送り出してくれる。送り出してくれる事を良い事に、各地方を旅してチームの仲間と旨いものを食べることができる。

公式戦のルールに則って記録を残すことで、水泳人として過ごした一年間を数値化できることも挙げたい。体重計に乗るのと同じで、記録が落ちたので練習しなきゃという動機につながる。一年の積み重ねを晴れ舞台で残し、数十年と重ねることで自分の水泳人生として残せる。
なぜ良い記録を残したいんだろう。個人的なエピソードだが、実家を整理していると祖母の若い頃の記録が出てきて、早かったんだなと感じた。同じく、世界に注目される記録でなくても、私の娘が水泳を好きになって大きくなって、同じ年の私のタイムと勝負してくれたら素敵じゃないかと思う。水泳人生を残したい。

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