天満界隈をフィールド調査する自主練

UXデザインについて学んだことを活かそうと、それなりに実践できそうな環境に飛び込むも、締め切りの決まった案件を目の前にすると腰を据えてユーザー調査する時間は取りにくいもの。

いや、むしろ案件が来てから調べだしては遅く、普段から習慣として集めていなければ勝負にならない!...という訳で、自主練としてフィールドワークに出てみようと有志を募って動き出した。写真は試しに大阪ミナミの難波に繰り出した図。


調査の概要

仮説形成の段階でテーマを絞り過ぎるとバイアスになるので、抽象度の高い調査テーマとして「人は余暇の時間をいかに楽しむのか?」を据え、週末の天満に繰り出した。なぜ天満かと言われると、夜の街が魅惑的で楽しそうだからという動機は正直ある。

一応の建前として、我々の仕事が人工知能に置き換えられてゆく未来において、余暇が人間の生業になってゆく旨のことを落合先生も仰っていた話が印象に残って、「余暇の楽しみ」が何なのかを探りたくなった。

皆が浮かれる花金なのに、ストイックにフィールドワーク&分析をやるタイムテーブルを書いたけれど、けっこう無茶な計画だったと後からわかる。

17:00 フレックスで仕事を抜けた人からフィールドワーク開始
19:30 部屋に戻ってKAカードを記入しはじめる
20:15 KJ法みたくラダーアップして価値マップ作成しはじめる
21:00 パターンランゲージに落とし込む
21:30 成果を共有して、お片づけ開始
22:00 完全撤収おやすみ

手法的なところでは、Xデザイン学校公開講座in大阪や連続セミナーでもやったことのある「応用エスノグラフィー」→「KA法」→「パターンランゲージ」をなぞって素振り的に練習しようとした。パターンは抽象度が高いだけに、蓄えておくと立場によらず財産として役だってゆくという期待もある。


フィールドワークの模様

出鼻から、仕事に手こずって私が職場を抜けるのが30分ほど遅れてしまった。ただ、通年セミナーで学んだメンバーが集まってくれたおかげで、要領よく一通りの下調べしてくれていた。結果的に、早く始めすぎても夜の街に変わる前だったようだ。

天満と言えば日本一長い「天神橋筋商店街」が環状線を貫いている。

ただ、我々が潜入するのは、環状線外側にあるおじさま方の聖地のほう。

うすうす予想していたけれど、歩いていると当然ながら強烈な呼び込みに合う。

「これも調査だから仕方なく...」と言いつつ、なんか乾杯してる。時間が早いと最初の一杯が無料だったりして、飲まざるを得ない。

でも、一応は調査だからと周囲を観察してみたり、足で稼いだ情報を忘れないうちにKAカードに書き起こしてみたりする。すごく異様な集団だったに違いない。

ウサギのアヒージョに舌鼓を打ったりもする。 どこの部分なのか小骨が多かった。

メンバーも増えてきたので、店を出て2チームに分かれてフィールド調査に繰り出す。天満はおじさんの街かと思いきや、カップルや女子会もアリな懐の深い街だという事が分かってきた。

二軒目ではカツオがファイヤーしてた。

鯖寿司がうまかった。

そんな中でも、KAカードを書くことは忘れない。


KA法による分析

同好会っぽく自主練を呼び掛けたところ、TAMの方が参加表明とともに素敵なスペースを貸してくださった。

10人程度だったので、2チームに分かれて手前と向こうでフィールドワークやってる。頬を赤らめながらやってる。

けっこうKAカードはスンナリ書けたけれど、的確なラベルを付けたり、ラダーアップしたりするのに時間がかかった。

パターンランゲージの落とし込みについては諦め、KAマップの作り込みに専念して、お互いに展開しあって、22時の完全撤収に間に合った。

Aチーム(?)の価値マップにおける中分類は人付き合いの時間的な流れを配置している。最初は独りだったのが、何かのキッカケのおかげで仲良くなってゆき、最終的には一緒にいるのに関わらなくても通じる感じの仲になってゆく。

夜の天満は大学キャンパスと全然違っていそうなのに、改めて見返すと似た傾向が見いだせたのは興味深い。


振り返って

  • Keep:取り組みとして良かった。具体的には、意外と自主練したい気持ちを秘めた人がいて集まってくれたこと。学んで手慣れたみなさんの力に支えられ、空中分解せずに形にはなった点が良かった。細かいところで、シート類・筆記用具・模造紙の準備や、会場の恩恵で壁に貼って出来たところも大きい。
  • Problem:計画は楽観的過ぎたので、現実的なタイムテーブルが必要をつくるべきだった。現実的にパターンに落とし込むのは後日になるけど、終わったそばから忘れるので時間確保をどうしようか考えねばならない。
  • Try:今回のメンバーは既にUXデザインを共通言語に持っていて、思い出せば進められたので気の利いたファシリは要らなかった。でも、実際の現場で違う立場の人を巻き込んで共創するとなると、「これをやる意義」や進め方について語れねばならないのだろうなと思う。
ともかく、みなさまありがとうございました!!


コメント

このブログの人気の投稿

ワークショップのチーム分けを組合せ最適化問題として解く

家族サービスデザイン #2 上位下位関係分析

運動会の上位下位関係分析