2016 UX KANSAI #7 アクティングアウト

一か月分のブランクを経て、先日のUX KANSAIにてアクティングアウトを学んできた。少し時間を置いてしまったことを反省しつつ、自分の中で引っかかったところを書き留める。

既存ビジネスに持ち込むと混乱する!?

セミナー開催前に国際的なカンファレンスが立て続けにあったようで、講義パートで最新の動向を伺うことができたのは興味深かった。ビジネスとデザインの融合である「UX戦略」については、ちょうどオライリーの書籍に挑戦しようとして苦戦しているところだった。

これまで学んできたことから、ユーザーのことだけを考慮するUXに意味はなく、ビジネスと一緒に考えてゆかなければならないことは理解している。そのようなUX戦略を、既に成熟しているビジネスに適用すると混乱をきたすという話を伺った。

私が生業としているのは既存ビジネスの改善であり、上流から降りてきた企画を上手く安く早く開発するという役割である。いずれにせよHCDプロセスを適用してユーザビリティを向上させることは役立つと考えているが、UXについてはどうだろうか答えを出せず悶々としている。

ユーザーの世界とモノの世界を行き来する

ストーリーボードに対する理解として、ユーザーのコトを描く手法であり、モノの実装には入り込まないことを知っている。それにも関わらず、簡易ストーリーボードのワークショップ中にモノの実装に入り込んだ話に立ち入ってしまい、「分かってないなぁ」とご指導いただいた。この件について内省してみる。

今回のワークショップでは前回欠席した構造化シナリオの3段階目「インタラクションシナリオ」から始まり、くだんの「簡易ストーリーボード」を描き、ストーリに対応した画面イメージとしての「ワイヤーフレーム」作成に取り組んだ。各手法を図にマッピングして俯瞰すると、ユーザーの世界とモノの世界を行ったり来たりしている。


自分の中にはメーカーで行われる商品開発のイメージが強く、ユーザーの世界から出発してモノの世界へと一方向に向かうという固定観念があった。このせいで、「インタラクションシナリオ」でモノの世界に向かっているのに、「簡易ストーリーボード」でユーザーの世界に引き返すということに戸惑いがあった。


どうして、行ったり来たりするのか?と言うと、これこそがHCDのプロセスなんじゃないかと憶測する。HCDプロセスがISO 13407からISO 9241-210に改定された際に、下図の赤矢印が明示されるようになった。この赤矢印をサイクルのように回すと、行ったり来たりする事になるということだろうか。


赤矢印は「手戻り」という先入観があって、実際に前のフェーズに戻ってやり直していたらリリースに間に合わないじゃないか?と恐れていた。しかし、例えHCD的な手法を取り入れたとしても、赤矢印なく一方通行で進めるのでは本質的にはウォーターフォールと変わらない。そうではなく、らせん状に反復することを計画に盛り込まなければならないのか。

あるいは、こんな感じで各段階でモノの世界を見越した評価をする意味で、反復をするのかもしれない。

自分の認識と、あるべきHCDプロセスのギャップに気付いたことが今回の収穫だった。もしかすると図で描いたことは厳密には正しくないかもしれないけれど、誤解を恐れず描いてみた。


壁に貼り出すと全体像が分かる

チーム内で大まかな方向性について合意して、ストーリーボードとそれを実現するための画面を描いて壁に張り出した。壁に張り出すと全体像が分かり、マズい箇所に気付いて書き直す。

皆で作ったストーリーボードを見て、今回からの初参加者が「なんだか一貫していないなぁ・・・」とコメントをしていたのは、「凄い嗅覚だな!」と感心した。
私の場合は、過去のセミナーで「このサービスを一言で言うと何処が特徴的なの?」「この機能はマジ価値に繋がるの?」という厳しい質疑を受け続けて、後天的に意識するように気を付けようとしている。初参加者さんは、既に身に付いていて違和感レベルで気付いていたのが流石だった。
また、連続セミナーを同じチームで取り組んでいてなんとなく通じてしまっているところを、客観的な目で見て批評することも大事だなぁと感じた。

タイトルは「アクティングアウト」であるが、実際に演じてみるのは次回。その前に、前提となるビジネスとして採算が取れず、そもそも狙っているペルソナから作り直しか!?というスリリングな展開。このまま着地させても、最後に批評される事の想像が付くので、なんとか抜け出したいところ。

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